還暦というお年頃

文芸評論家の坪内祐三氏が亡くなってしまった。私と同い年。

繊細な筆致ながら、文芸に限らず取り扱われる守備範囲は広く、そのすべての領

域において、興味をそそられる文章を寄せていた印象がある。東京人の編集長を

経験されていただけあり、都市を観察する視点については、とりわけ注目させて

いただいていた。

そしておもうに、坪内氏の逝去に寄るまでもなく、数年前から還暦前後でなくな

る方がずいぶん増えた。寿命が長くなった分、厄年が42から60に推移した印

象がある。

 

西城秀樹(63才)、中村勘三郎(57才)、千代の富士(61才)、北の湖(62才)、

森田芳光(59才)、萩原流行(58才)、坂口良子(57才)、市川準(59才)、

桑名正博(59才)、坂東八十助(59才)、忌野清志郎(59才)、、
思いつくままに書きだしてみてもこれだけの方が亡くなっている。

どうやら、60才を基準に前後3年が鬼門のようなのである。あまりにバタバタ

と倒れ過ぎている。亡くならないまでもまわりの知人の不調を聴くことも多い。

乗り切る方もみえるが、還暦は注意すべきお年頃というのは、まずまちがいない。