相性学について

 

 

ひさしぶりの【カラダノート】を終えた。

音楽家の高山葉子さんと3年前より始めた企画だが、舞台人の身体観を養成する

という当初の目論見と反して、想像したよりも舞台関係者の参加はすくなく、ほ

かのさまざまな分野の専門家が興味を示して参加していただくようになった。そ

こで、舞台人限定と云う枠を取り払い、舞台人も一般の方々もいっしょに体験し

ていただく場としてオープンにしている。ステージワークで活用しているカラダ

の叡智やスキルを日常の観察眼に役立てていただければ、とおもう。

 

そこで今回のテーマである◎相性学について__だが、いつもながらなのだが、

まったく専門領域の異なる参加者<文学、教育、絵画、ダンス、作曲、図書、獣

医、、>のパーソナリティがたのしく、興味深い結果となった。

 

まず、参加者夫々が醸している印象を3項目ずつ紙に書き出してもらう。知見の

方は、初対面時にタイムスリップしてもらい当時の印象を記す。あとで発表して

もらったのだが、なかなかユニークなイメージの飛躍で吹きだすこと頻り。

目的としては、<自分が他者からどう見られているのか?><自分は他者をどう

見ているのか?><またその他者を第三者はどう見ているのか?>というあたり

を認知してもらう試みである。

 

認知されたイメージを脳裏に残しながら、次は並列した椅子にふたりでならんで

坐ってもらう。ここで、ふたりが醸す空気感は、ステージ上人物として見た場合、

成立可能なのか共存可能性度をみなさんで測るのである。ならんでいるだけなら

50%だが、男同士で手をとりあえば70%に飛躍したり、年長の女性が青年を見下

すような視線でながめる構図であれば、30%が80%にアップしたり、そこから物

語がはじまりそうな予感が立ち現れるのである。あたりまえの事実であるが、二

人が奏でる空気は、隣り合うひとが変われば当然変わる。サイレンスダンスでは、

ひととひとがつくり出すカラダの情報を活用しながら演出が為されてゆく。

 

このような試みは、演出行為の根幹に迫るものなので、舞台人の方々により多く

参加してもらいたいのだが、カラダというメディアの特殊性、可能性に無関心な

方が多いのはとても残念なことである。頭で認知できることは、限られている。

カラダで獲得することの有用さに気がつかないうちは、上演作品に於ける演出と

いう行為の理解は、ほど遠いものだろう・・。