構想8年、企画1年半に渡るステージ作品が終わった。
今作では、人選にたいへん苦労をした。まず、先生役は比較的早々に決まった
ものの稽古開始寸前まで決まらなかった私役。そして、すでに決定していたK
役の途中降板。結局以前から気になっていた演劇人=吉村公佑さんへの出演打
診。そして快諾で急場を凌いだ。
上演作品以上に心配したのが、観客である中学生全員による<ボディワーク・
オンステージ>である。作中のシーンをサンプルとしてみせながら、日常のダ
ンスのつくり方を解説をする。そして、引率の先生方もふくめてサイレンスダ
ンス流振付をしてもらう。まずは、会場を5グループにわける。そして、時間
差で振付を実演してもらう。2パターンを伝えたあとは、660名が一斉に振
りをする姿は圧巻だった。都会とはちがい、素朴な中学生たちで会場が締まっ
た観があった。
上演作品については、弁士の語りを導入したり、映像言語で象徴的な文案をみ
せるなど中学生仕様につとめる。だが、なんといってもテーマは<こころ>で
ある。しかも殆どの学生は、まず原作を読んではいない。事前に3分で読める
《こころ》をプログラムに挿入したが、どこまでテーマを理解できたかは不明
である。だが、いまわからなくとも数ヶ月、数年後に、あの時みたフカシギな
舞台が、記憶の襞から立ち上る機会があれば、とおもう・・。コトバで理解す
ることばかりではない体験になればよいのである・・。
◎サイレンスダンサー▶
先生=河合 悠、私=野老真吾、静=すう、K=吉村公佑
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