静そして先生、私、K

 

 

ようやく登場人物4人の稽古を終える。

と云っても、一同に会する機会には恵まれていない。夫々のカラダの特性をつ

ぶさに観察する。<私>役は、三度目の稽古になるので、カラダの癖が脱けて

きて、可能性を感じる動きになってきた。前半の稽古では、ひたすら余分なも

のを削いでゆくことになる。地上にふっと降り立ったひとつの生命体のような

印象が望ましい。おなじ空気のなかに存在する生命体として同化させるべく、

不要なこだわりや自我を床におとしてゆく。

歩行訓練をみつめていると、サイレンスダンス当初の<立つ><歩く><坐る

>にこだわった頃をおもいだす。<おどらないダンス>を全うしようとするほ

どに、すさまじくおどれる優秀な身体を獲得していないと実現できないパラド

クスに出会った。あらたな作品をつくるごとに、日常動作をステージワークと

して、みせることの途方もない道程の遠さに暗澹としたものである。

 

未だに、立つことと歩くことは、すさまじくむずかしい。