老眼年令になると、光の調節機能が衰える。
わかいころは、なんでもなかった光を眩しく感じることがおおくなる。そ
して、舞台の照度に限らず、ふだんの室内照度にもこだわるようになる。概
ねフル点灯は好ましくない。調光が効かない部屋では、点灯を一部にしたり
と工夫する。とりわけ、ワークショップの室内照度は、その目的に応じてか
えるようにしている。リラクゼーションや脱力系のボディワークの場合は、
やはり暗めがよい。表現タイプのワークでも用途に応じて、奥の照明だけつ
けてみたり、間引きして点灯させて会場照度の案配をコントロールしたりし
ている。
さきの谷崎ノ《陰影礼讃》を例にだすまでもなく、和風建築の障子などの間
接照明がここちよい。若いころには、物哀しくおもえた北光線もなかなかよ
い。むかしの画家のアトリエは、光が変化しないので北窓設えが多かった。
いまは、健康上の理由で南向きにするケースが多くなったときく。
自宅を設計する機会があるなら、家具調度がなにもない畳の部屋に床の間。
そして、直接光がはいらない横長の床上窓があるとよい。床あがり40cmほ
どだろうか。所謂、瞑想空間が一室もてる身というのは、なんとも贅沢なこ
とだろう。欲をいえば、窓から苔むす庭がみえていたりするとさらにこの上
ない・・。
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